(受付終了)エフォートカンパニー被害

目次

いわゆる名義貸しによる学習教材のクレジット被害につき、クレジット代金支払債務の不存在確認及び既払金の返還を認める全面勝訴判決を得ました!

① 主文・目次(1p~67p)
 
② 第1章・第2章(67p~235p)
 
③ 第3章 総論(236p~265p)
 
④ 第3章 個別認定〈抜粋〉(265p~381p)
 
⑤ 第3章 被告らの主張について・別表・別紙〈抜粋〉(2098p~最後)
 

  1. 事案の概要
    平成27年11月末に、町田市内で学習塾を経営していた株式会社エフォートカンパニー(以下、「エフォート社」と言います。)が破綻し、同社より学習教材等を購入した多数の消費者から、消費生活センターに相談が寄せられたことから、当弁護団において集団的な対応が必要であると判断し、同年12月、16名の団員にて特設弁護団を起ち上げました。
     エフォート社は、中高生の子を持つ親らに対し、特定商取引法が規定する訪問販売や電話勧誘販売、特定継続的役務提供といった形態により、人数や対象が限定された教材等のモニターになってほしい、モニターになれば無償で教材等を使用することができる等と告げて、モニターになるための手続であるとしてクレジット契約を締結させたり、破綻する直前の時期には、エフォート社の都合により、従前締結したクレジット契約の支払方法を分割から一括に変更する必要がある等と告げて、従前のクレジット契約とは別に、新たなクレジット契約を締結させる等していました。
     そこで、各クレジット会社(但し、1社を除く)に対する証拠保全を実施のうえ、平成28年6月、関係するクレジット会社に対し、主位的にはクレジット契約の不成立、割賦販売法に基づくクレジット契約のクーリング・オフ、不実告知等による取消し等を理由として、予備的には売買契約の不成立や不実告知取消し等、エフォート社に対して有する抗弁の対抗を理由として、クレジット代金支払債務の不存在確認及び既払金(但し、顧客に代わってエフォート社が支払った分は除く)の返還を求める訴訟を東京地方裁判所に提起しました(原告108名、契約数185)。
     
  2. 判決の概要
     約5年半にわたる審理の結果、185契約のうち184件についてはクレジット契約の不成立や割賦販売法に基づくクレジット契約のクーリング・オフ、不実告知取消しのいずれかによる立替金債務の不存在確認を認めるとともに、既払金の返還請求を認め、残る1件についても、エフォート社に対して有する抗弁の対抗(支払拒絶)を認めました。
     判決は、個別信用購入あっせんにおいては、構造的に、販売業者等が違法ないし不相当な販売行為や役務提供行為に及んで不適正与信を発生させる危険性が高いことを前提に、割賦販売法は平成20年改正により、消費者保護重視の趣旨を明確に示したものであり、あっせん業者の調査義務、書面交付義務、購入者等によるクーリング・オフ、購入者等による販売業者等の不実告知等を理由とする法解釈に当たっては、個別信用購入あっせんにおいて購入者等の保護が最重要視され、あっせん業者は上記保護のために調査等の責務を負い、リスクを負担するという視点から検討すべきであるとしました。
     そのうえで、割販法は、あっせん業者に対し、販売業者等に対する調査の義務と権限を与え、販売契約等の実態を把握する責務を負わせたものというべきであり、クーリング・オフは、あっせん業者に対し、販売契約等の内容を正確に把握して法定書面の記載との整合性を確認する実質的な責任を負わせるものということができるとしました。
     そのうえで、割販法は、あっせん業者に対し、販売業者等に対する調査の義務と権限を与え、販売契約等の実態を把握する責務を負わせたものというべきであり、クーリング・オフは、あっせん業者に対し、販売契約等の内容を正確に把握して法定書面の記載との整合性を確認する実質的な責任を負わせるものということができるとしました。
     また、不実告知等を理由とするクレジット契約申込みの意思表示の取消しについては、平成20年改正は、販売業者等がクレジット契約締結に際し、重要事項についての不実告知等に及んだ場合には、委託者であるあっせん業者の過失の有無を問わず、すなわち、あっせん業者の知・不知、認識可能性の有無にかかわらず、購入者等によるクレジット契約の取消しを認めたものと解されるとし、購入者等が販売業者等から真の動機を秘したまま不正行為をもちかけられるなど、いわば販売業者等に利用されたと評価しうる場合には、販売業者等による不正行為の被害者としての面も多分にあることから、購入者等の保護の徹底を図る割販法1条1項の趣旨に鑑み、不正行為に関連して締結されたクレジット契約を取り消しうるとしました。
     そして、クレジット会社の加盟店調査義務違反を認めたうえで、原告108名の合計185契約について個別に判断をし、原告らの行為は不正申込みであるとしつつも、モニター等としての教材の無償使用及びそのための手続としてクレジット契約を締結すること並びにそのクレジット代金全額をエフォート社が負担することは、専らエフォート社の側から原告らに持ちかけたものであって、原告らは立替金の不正取得というエフォート社の目的を知らずに受動的に応じたものにすぎず、クレジット契約のクーリング・オフやクレジット契約申込みの意思表示を取り消すことができるとしました。
     なお、本件では、クレジット会社より、原告らはエフォート社による立替金の不正取得に加担したとして、共同不法行為に基づく損害賠償請求が提起されていましたが、判決は、割販法の取消し及び清算規定の趣旨を考慮すると、購入者等は、販売業者等の不実告知を誤信した点に過失があったとしても、また、事実と異なる内容の契約書作成や電話意思確認の回答という行為に直接又は販売業者等を介して間接的に及んだとしても、割販法35条の3の13第2項の趣旨により、上記行為は違法とまではいえず、購入者等は不法行為責任を負わないと判断しました。
     さらに、クレジット会社からは、クーリング・オフによる解除や不実告知取消しの主張は信義則に反するとの主張もされていましたが、判決は、クレジット会社が加盟店調査義務を果たしていれば、エフォート社がこれだけ多数の原告らによるクレジット契約の不正申込みをさせるという事態は回避し得たと言ってよく、原告らはエフォート社の立替金不正取得の意図を知らないまま、同社に利用されたものであって、それはクレジット会社の加盟店調査義務の甚だしい懈怠によって招かれた事態に他ならないことから、クーリング・オフによる解除権の行使や、不実告知を理由とする取消権の行使につき、信義則違反とみる余地はないと判断しました。
     
  3. 本判決の意義
     本判決は、2100頁を超える大部の判決ですが、平成20年改正の趣旨から丁寧に説き起こして判断を示したものであり、割販法に基づく不実告知取消しの可否につき、名義貸しに関する最高裁平成29年2月21日判決の判断基準のあてはめが示されたほか、割販法に基づくクーリング・オフによる解除や不実告知取消しと、クレジット会社に対する不法行為責任の成否とが衝突する場面において、割販法の取消し及び清算規定の趣旨から判断を導いた点など、非常に大きな意義のある裁判例であり、今後の実務に大きな影響を与えるものと考えられます。  

  (令和4年1月18日掲載)

相談受付終了のお知らせ

当弁護団へのご相談の受付は、平成28年1月29日(金)をもって終了させて頂きました。
今後は、各関係者との交渉等により、被害者の被害回復に努めて参ります。
(平成28年1月25日掲載。平成30年1月7日追記)

【弁護団の活動報告】

  1. 証拠収集活動
     弁護団では、まず、平成28年1月に、株式会社エフォートカンパニー(以下、「エフォート社」)の代表取締役であった福嶋氏と、同社の従業員で塾長の肩書きを有していた土田氏の2名から、両名の代理人弁護士立ち会いの下、事情聴取を行いました。併せて、エフォート社から、破産手続開始決定前に、重要な関係資料の提供を受けました。
     また、訴訟提起に先立ち、クレジット会社が保管している関係資料を予め確保すべく、アーチ企業株式会社(以下、「アーチ」)、株式会社オリエントコーポレーション(以下、「オリコ」)、株式会社アロー(以下、「アロー」)の3社に対して、平成28年3月から6月にかけて、順次、証拠保全を実施しました。
     なお、株式会社SPサービス(以下、「SPS」)についても証拠保全の申立てはしましたが、旭川の裁判所は、他の裁判所と違い、保全の必要性を認めなかったため、証拠保全を実施することができませんでした。ただ、SPSからは、依頼者全員のクレジット契約書の交付を受けています。
     
  2. クレジット会社に対する提訴
     平成28年6月15日、東京地方裁判所にて、原告数を108名とする、クレジット会社4社(アーチ、SPS、オリコ、アロー)に対する債務不存在確認等請求訴訟を提起しました(平成28年(ワ)第19498号、民事第5部に係属)。
     
  3. 破産債権の届出
     平成28年5月25日、エフォート社、福嶋淳、土田かほりの3者につき、東京地方裁判所にて、破産手続開始決定がなされました(平成28年(フ)第3334~3336号)。破産管財人には、いずれも杉本太郎弁護士が選任されています。
     弁護団では、平成28年6月24日、上記3者につき、破産債権者の代理人として、破産債権の届出を行いました。

(平成28年7月4日掲載)

■株式会社エフォートカンパニーが、平成28年5月25日午後5時、東京地方裁判所から破産手続き開始決定を受けました(平成28年(フ)第3334号)。

また、同時に、同社代表取締役及び教材販売に従事していた女性に対しても、破産手続開始決定がされました。
 
債権者集会は以下の通りです。
日時 平成28年9月12日(月)午前10時30分から
場所 家簡易地裁合同庁舎5階

(平成28年5月27日掲載)

エフォートカンパニー被害対策弁護団の結成

当クレジット・リース被害対策弁護団の特設弁護団として、(株)エフォートカンパニーの倒産に伴うクレジット被害事案に対応するために、「エフォートカンパニー被害対策弁護団」を立ち上げました。

(平成27年12月8日掲載)

エフォートカンパニー被害の概要

小中高校生対象学習教材の販売や個別指導塾ブレスの運営を事業内容とする株式会社エフォートカンパニー(本店:町田市成瀬、営業所:札幌)が平成27年11月30日に事業を停止しました。
同社は、その顧客に対して教材販売をする際、顧客に対してモニター契約なので実質的負担はないなどと説明をして勧誘をしていたところ、同社の事業停止により、その被害が明らかとなりました。
・株式会社エフォートカンパニー・公式サイト http://www.e-breath.com/
・個人指導塾ブレス・公式サイト http://www.e-breathschool.com/

弁護団の活動方針

  1. クレジット債務の減免についての交渉・訴訟
    裁判で訴えられた被害者については、応訴
  2. エフォートカンパニーが破産した場合には、破産手続きでの一切の権利行使
  3. その他、本件被害回復に必要な手続・交渉・裁判を行います。

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