ご挨拶

弁護団の結成から現在まで

 当弁護団は、2005年、東京三会や日弁連の消費者委員会に所属する者を中心とする有志弁護士により、クレジット契約やリース契約を悪用した過剰な与信による消費者被害の抜本的な解決を目指して結成し、2010年のウェブサイト開設時に、弁護団名を「クレジット・リース被害対策弁護団」に改称し、現在に至ります。この間、日弁連消費者委員会の委員長(2名)、東京弁護士会消費者問題特別委員会の委員長(多数)、関弁連消費者委員会委員長(1名)を輩出したほか、国民生活センター紛争解決委員会委員、特別委員を多数輩出しています。

 そしてこのたび、これまで当弁護団を強力に牽引してきた瀬戸和宏団長、大迫惠美子事務局長から、団長葛田、事務局長大塚稜弁護士を中心とする執行体制で活動をしていくこととなりました。

被害事件救済の取り組み

 弁護団では、結成当初から個々のクレジット被害事件、リース被害事件の被害救済に取り組んできたほか、そのときどきに社会問題化した被害類型として、サクラサイト被害(2011年~)、投資用マンション被害(2012年~)、占いサイト被害(2013年~)、情報商材被害(2018年~)の被害回復に取り組み、成果を上げてきました。

 集団被害事件への取り組みとしては、エレメント事件、ECM事件、インプロトテレコム事件、スカウト詐欺事件、ヒッグスコミック・ロイヤル・大河のほとり事件、エフォートカンパニー事件といったクレジット契約を悪用した事件のほか、リース契約が用いられたコスモテック事件に取り組んできました。

 その他、与信が悪用された被害以外でも、未来土地被害事件では大阪弁護団と連携して活動し、ナマズ消化器・ウサギ火災警報器事件(2012年~)についても被害救済に取り組んでいます。

立法提言など

 また、当弁護団ではこれまで消費者被害救済に密接に関係する消費者契約法、特定商取引法、割賦販売法、資金決済法、民法(成年年齢引き下げ問題)等に関する意見書を提出するなどして、消費者被害事件に関わる各種立法への提言等を行ってきました。

これからの活動について

 当弁護団では、これからも上記各活動を通じて、主として与信を悪用した悪質商法撲滅に向けて活動していきます。

2022年9月12日
 クレジット・リース被害対策弁護団
 団長 弁護士 葛田 勲



 

 当弁護団は、過剰な与信による消費者被害を立法による抜本的な解決を目指して、2005(平成17)年に東京の有志弁護士によって発足しました。

 次々販売やモニター商法、悪質リース被害、その他の多くの悪質商法は、消費者を勧誘する業者のみで引き起こすことはできません。クレジット会社やリース会社が加担することで、初めて可能となるのです。

 消費者と事業者とは、決して対等な関係にありません。その有する情報の量や質、分析力や判断力、交渉力など全てにおいて、圧倒的に事業者が優位にあります。
 消費者がいくら被害に遭わないように注意をしても、事業者には、敵いません。事業者は、消費者の情報や理解力、判断力の不足、弱みや不安などにつけ込み、消費者にとって不要・不急・過大な取引を勧誘し、その取引を成立させるために、与信業者を利用するのです。
 与信業者は、販売業者等の「営業活動」によって与信先を獲得し、利益を得ているので、販売業者等の悪質さについては、どうしても、大目に見ることになります。
 このように、クレジットやリースを伴う消費者被害は、消費者を取引に引き込んだ販売業者等の悪質性と、利益の追及のために、悪質な販売行為を見て見ぬふりをする与信業者とが一体となった加害行為として捉えなければ、真実を見誤ってしまいます。

 平成20年6月の割賦販売法の改正では、このような事実を正面から捉え、特定の商取引においてではありますが、与信の対象となる販売行為に不実告知等の一定の不正な行為がある場合には、販売契約と合わせて与信契約自体も取消しの対象としました。
 この法改正は、私たちが長年求めてきたことが、実を結んだものです。

 これまで、当弁護団では、呉服等の展示会販売における過量販売・過剰与信のほか、いわゆる悪質電話機リース等被害の救済にも実績を上げてきました。リースは「ファイナンスリース」と呼ばれるとおり、与信そのものです。
 悪質電話機等リース被害では、零細事業者が狙われました。被害に遭っている事業者は、確かに事業者の側面もありますが、悪質事業者との関係で見れば、消費者と何ら変わるところはありません。リース会社との関係では、情報力や交渉力、経済力の非対称性は明白です。
 この点も、従前から主張していたところですが、経産省の平成17年12月通達も出され、裁判所も、形式ではなく、実態を見て判断するようになりつつあります。
 法律は、形式的に適用すればよいものではありません。法律の適用の結果が正義に適わないのであれば、その事案にその法律を適用することが誤っているのか、法律の解釈が誤っているのです。
 何が正義かは多義的ですが、当弁護団は、常に、社会的・経済的な弱者の側に立って正義を考えます。弱者が泣き寝入りしないことが正義と考えています。
 今後とも、この正義を実現すべく、クレジット契約やリース契約を伴う被害の救済と撲滅の活動を続けていきます。

 皆様からの叱咤激励、ご指導ご鞭撻を頂けば幸いです。

 2010年8月17日

(初代団長) 弁護士 瀬戸和宏