気を付けてください! 探偵(調査会社)による二次被害
サクラサイトや架空請求の被害者が、ネット上で、被害を取り戻してくれるかのような広告を見て、被害を回復してもらえるものと誤信をして探偵業者や調査会社、行政書士に料金を支払ったが、被害が回復されない、という被害が多数発生しています。そこで、当弁護団は、昨年8月、各地の弁護団と連携して「サクラサイト被害・二次被害撲滅全国一斉110番」を実施しました。
被害回復ための交渉は、弁護士と認定司法書士にしか認められていません(なお、認定司法書士は140万円を超える被害については取扱いができません)。
したがって、その他の業者が、被害の取り戻しができると誤信させるような説明をして、代金を受け取ることは違法であり、支払った代金の取り戻し(法的には、不当利得または不法行為による損害賠償)を請求できます。
このことは裁判上も認められており、探偵業者による二次被害について当弁護団の団員が得た判決を紹介します。
【東京簡易裁判所 平成29年1月18日判決 平成28年(ハ)第29952号
1審 請求認容 被告=探偵業者は、控訴後に全額を支払って控訴を取下げ】
理由の要旨:「弁護士法72条に違反して、弁護士でないものが法律事務に関し法律事務を行うことを業として、これによる報酬を得る目的で締結されたものと認められるから、公序良俗に反する事項を目的とする法律行為であるということができ、民法90条により無効」「被告は、これらのことを知った上で、原告と本件契約を締結し、原告から本件料金を受領したこととなり、被告の行為は不法行為といえる。」
上記の判決の事件とは別に、探偵業者から全額返金を受ける裁判上の和解が成立した案件もあります。
また、この問題では、平成29年4月、京都府警が探偵業者を詐欺容疑で逮捕しています(朝日新聞DIGITAL/2017.5.24)。
なお、日本弁護士連合会では、探偵業者に相談・依頼をすれば消費者被害が解決するかのようにうたう不適切な広告がまん延している実情に鑑みて、2017年6月15日、これを規制する法改正を求める意見書を出しました。
探偵業の業務の適正化に関する法律等の改正を求める意見書(日本弁護士連合会/2017.6.15)
被害を回復することは大切ですが、さらなる被害に遭わないように気をつけてください。
お金を払う前には、一呼吸おいて、信頼できる人や消費生活センターに相談しましょう。
最寄りの消費生活センター弥消費生活相談窓口の電話番号が分からないときは、
消費者ホットライン「188(イヤヤ)」
に電話をしてください。
※消費者ホットラインは、全国共通の電話番号で、全国各地にある、最寄りの消費生活センターや、消費生活相談窓口をご案内するものです
【関連リンク】
・探偵業の業務の適正化に関する法律等の改正を求める意見書(日本弁護士連合会/2017.6.15)
・「アダルトサイト業者とのトラブル絶対解決します」…その実態は探偵業者 解決しないのに料金請求 新たなトラブル発生で相談続々(産経ニュース/2017.6.1)
・成人サイト高額請求、相談相手に探偵が… 1千人被害か(朝日新聞DIGITAL/2017.5.24)
・「アダルトサイトとのトラブル解決」をうたう探偵業者にご注意!(国民生活センター/2016.12.15)
(平成29年6月23日掲載)